黒雅が優しくないのなんて分かってる。



「なら、あの時みたいに襲うつもりですか?」



そう目の前の男を睨みあげるようにして見つめ返せば、腹の底からそんな声を出した。



学校帰りに待ち伏せをしていた黒雅が私を襲った事は今でも鮮明に覚えている。シルバーナイトの皆んなと一緒にいる事になったのも、思えばあれがキッカケだった。



しかし、そんな私の言葉に反応したのは目の前のこの人ではなく…少し後ろにいた新の方。



「…襲った?」



それは低く静かで、落雷が落ちたかのような地響きに近い声。



「どう言う事だナツメ」



私を見下ろしていた目の前のナツメと呼ばれた男は、後ろにいる新へと視線を動かすと落ち着いた言葉を並べる。



「以前、第二特攻の連中がシルバーナイトと間宮莉愛との関わりを見つけて捕らえようとしたようです」



したようです……って何て他人事なんだ。

自分のチームがやった事で、新が指示した事なんじゃないの。それとも忘れてるって言うの…?



初めて会った時、シルバーナイトに押しかけて戦い始めたのは俺の指示じゃないとか言ってたけど…