「理由か、まぁ確かに君が納得するほどの理由はないな」
「そこどいて下さい」
新の横を通り過ぎてリビングの入り口に向かおうとした時、目の前にサッと立ちはだかる男。
「行かせませんよ」
第一印象は知的でやけに黒縁眼鏡が似合う男で、多分新の仲間。つまり黒雅のメンバー。
「どいて下さい」
彼はギロリと冷静に私を見下ろすとそのまま腕を強く掴んだ。
「…ッ」
そのあまりに強い力に思わず小さな悲鳴が口から漏れる。
「間宮莉愛、シルバーナイトが大切にしている女」
「…………」
「なるほど、いい眼をしてる。確かにこれは興味深い」
「痛いから離して下さい」
「失礼、でも離す事は出来ません」
「なんなの…」
「僕は黒雅の幹部、シルバーナイトの女をそう簡単に逃がしたりするほど優しくはない」