「……興味…」
「危害は加えない、黒雅じゃなく俺の単独的な行動だから」
何それ……余計に訳わからない。
梓とこの人は知り合いみたいだし…前に朱音さんの事も知っているようなそぶりだった。
もしも何かを企んでいるんだとしたら私はここから逃げ出さないといけなくて、今すぐ出て行く必要がある。
「出て行こうとしてるだろ?」
「………」
「やめといた方が良い、他の族に捕まったら何されるか分からないぞ。俺に見つかったのがせめてもの救いだな」
救いって…逃してもくれない。しかも最低なチームだと言われてる人にそんな事言われても…
「…あなたの言う事を聞くわけないでしょ」
勢い良く身体を起こそうとするけれど、やっぱり力は入らなくて…それどころか頭がグラグラと回る。
「やめとけ、熱が上がる」
余裕気に笑った彼は、私の肩辺りをトンっと押すようにしてベットへと倒れさせた。
「安心しろ、熱が下がったら帰してやるから」
視界が薄まっていく…眠ってはいけないと頭では分かっているのに…身体は言う事を聞いてはくれなくて…ゆっくりと重たい瞼が閉じていく。
「…あなたは…優しいのか怖いのか…わからなぃ…」
最後に確かそんな事を口走った気がする。
その時見た彼の驚いたような表情は、夢だったのか現実だったのか曖昧で…私は再びゆっくりと瞳を閉じていた。