だけど、梓が話すよりも前に。突き離されるくらいなら…素直な自分の気持ちを話した方がマシだ。
「隣にいたいと思った。それなのにそう思えば思うほど…胸が痛くて仕方なかったの。けど…あの時よりも…今はもっとずっと…苦しい」
思えば思うほど、願えば願うほど。
苦しさは増して胸を焼く。
こんなにも好きなのに…いつのまにか想いはとても強くなっていて…もう後戻りなんて出来なかった。
梓の切なげで低い声が私の頭上から降ってくる。
「お前と一緒にいると気が緩むんだ。常に見える場所にいて欲しいとも思う」
「……っ」
「こんな気持ち初めてだった。情けねェぐらいお前の事ばかり考えて…」
梓…
「泣かせたいわけじゃねェんだ、苦しい思いなんてさせたくねェのに、俺がお前を傷付けてる。なのに手放せねェんだ」
後悔で顔を滲ませるようにして表情を歪めた梓の綺麗な顔が、その思いの意味を語っているようで…苦しかったのは私だけじゃないんだと…そう思った。
