「…莉愛…僕、勉強やるよ」
私の手をギュッと握った佑衣は、潤んでいた涙を引っ込めると、小さく笑いながらガッツポーズを見せた。
「うん、一緒に頑張ろう」
誰にでも得意な事、苦手な事がある。
得意な事だけをしてれば良いほど世の中は甘くはなくて…苦手な事もやっていかないとならない。
それはどんな人でもそうだろう。学校でも会社でも…日常生活でも。
逃げていたらいけない事がたくさんある。
私もそうだ、佑衣に苦手な勉強を進めるくせに…私は自分の苦手な事から今まさに逃げてる。
人を信頼する事、頼る事、側にいる事。
ずっとそれが苦手だった。
人を遠ざけ関わらないようにして、誰の事も信じなかった。
そして……せっかく信じたいと願う相手を見つけたのに、側にいたいとそう感じたのに……
そんな相手からも逃げてる。
最近は自分で自分が変わったように思えてたけど、きっと心の奥の芯の部分は変われていないのかもしれない。
結局、間宮の家を出たあの時から……私は何にも変わっていないんだ。