確かに、佑衣の言っている事はもっともだ。
学生のうちに勉強している内容なんて対して将来使う事なんてほとんどない。


だから勉強したくない気持ちも、やる気が起きない気持ちもよく分かる。


私だってきっと間宮の家に生まれていなかったら、お爺様に出会っていなかったら勉強なんてやろうと思ってなかったかもしれない。



だけど世の中は不思議な事に、良い高校や良い大学に出て良い会社に行く事を最高のステータスにしている。


いつからそうなったのか、何故それが当たり前かのようになってるのか…もやは誰も疑問には思わないような世界だ。


「確かに勉強をしたからってなんて事無いのかもしれない。だけどもしも将来佑衣がやりたい事を見つけた時、今勉強したささいな事が役立つ時が来るかもしれない」



「…ささいな事?」



「例えば設計士になりたかったら難しい数学が必要だし、ボランティアで世界を飛び回るなら英語が必要でしょ。そんな時の為に今から準備しとくのも悪くないと思わない?」


「…準備」


「もちろん全く使わない勉強の内容もあるし、あっという間に忘れちゃうような事もあるけど、それでも将来の自分を広げる為にはやっておいて損はないんじゃないかな?」



目を潤ませていた佑衣は顔を上げ私を見つめると



「莉愛は勉強が好きなの…?」


「私はどちらかと言うと好きかな」


「…どうして好きになったの…」


「うーん、何か嫌な事があったりモヤモヤした時は勉強をするの。そうすると問題を考えてる時は他の事を考えなくてすむから。それにね、答えが出た時って頭がスッキリするでしょ。だから勉強をして問題が解けた時嫌なことも一緒に少しだけスッキリしてるんだ」