「……梓」



そう、小さく胸の中で呟けば



「どうした?」



優しい声が降ってくる。




隣にいられるだけで十分だったはずなのに……



梓に私と同じ気持ちを求めてしまう。



梓はどんな気持ちで私と一緒にいるの……

どんな気持ちで私を抱きしめてるの……




どんな気持ちで……私の名前を呼んでくれたの……



私を見つめるその瞳は、やっぱりどこか切なく儚げで……




結局私がそれを口にする事は出来なかった。





まるで夢の中に吸い込まれていくみたいにゆっくりと瞳を閉じる。



温かいぬくもりの中で何度も彼の名前を呼んだ。



そして…
甘く切ない想いが…


私の心を埋め尽くしたんだ。