梓によって少しだけ乱暴に開かれた玄関。 腕を強く引かれ、吸い込まれるようにして扉の中へと入っていく。 扉がバタンッと大きな音を出して閉まった瞬間 私の身体は梓によって、 …………力強く抱きしめられていた。 かすかに高揚する息使い。 背中に回るたくましい腕。 余裕の無い表情。 「莉愛」 二度目に呼んでくれた私の名前は 今にも消えてしまいそうな そんな切い梓の声だった…………