リビングへと入ると、ソファーに座っている梓が目に入った。



その姿はいつの間にか私服へと着替えていて、細身のかるいダメージジンズに白いロンティーそして黒いパーカーを羽織っている。



そんなラフな格好なのに、やけに絵になって見えるのは何故だろう。



それに比べて私は…梓に借りたスウェットに寝癖だらけの頭。



せめて顔だけでも洗おうと、寝室から出てきた悠真の隣を通り過ぎて洗面所へと向かった。



やけに広くてオシャレな洗面所には、昨日借りたバスタオルが置かれたままになっている。



蛇口をひねり水を出せば、冷たい冷水が手に弾けてそれを顔へと叩きつけた。



昨日着ていた服に着替えて、軽く寝癖を直せば大きな鏡に映る自分を見て…紅く映る唇で視線が止まる。



そういえば……私…



昨日梓とキスしたんだ……




その瞬間一気に昨日の出来事がやけに脳内をクリアに映し出してきて、ボッと音が鳴ったように顔が火照るのが分かった。