突然居なくなってしまった温もりが寂しくて…思わず手のひらをギュッと握る。



今までよりも……昨日よりも…ずっとずっと欲張りになっている自分が情けなくて笑えた。



こうなる事を恐れていたはずなのに……梓に近づけたことを嬉しく思ってる。



私って、自分が思っていてよりもずっと馬鹿なのかもしれない。



「おい、莉愛てめぇ」



少しばかりボーッとしていると、いきなりそんな不機嫌そうな声が頭上から降ってきて、



それにあわてて顔を向ければ、琉聖が怒ったように腕を組んで立っている。



「あ、琉聖…おはよう」



何故怒ってるのか、どうして不機嫌なのか…




「おはようだと?もう昼だ!つーかお前俺をマンション前で何時間も待たせるとは良い度胸だなぁ」



「………え?」



「電話も出ねぇ、メールも返さねぇ、俺がどんだけ心配したと思ってんだ!?」



声は冷静なはずなのに、その顔は物凄く怒っていて、今にも血管が切れそうなほどシワが浮きだっている……