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馬鹿みたいに大きく心臓の音が鳴る。




「来いよ」




やけに色っぽく甘美を帯びた彼の声は、私の耳の奥をくすぐりスッと通り抜けていく。



いつもと違い、少しだけ濡れた白銀は…窓辺に映る月明かりを連想させ私を惑わす。



自分でも気が付かぬうちに近付いて行った足を、ベッドの前でピタリと止めた。



ゆっくりと包まれていく私の手は、緊張からかきっと少しだけ震えている。



次第に梓のやけに熱い体温が右手から私に伝わってきて、少しずつ緊張の糸が溶けていく。



「冷てェな」



それはきっと私の手の事。
どこか梓と私は似ていると感じる事が多いけれど…体温は正反対で対照的だ。




スウェット姿にティーシャツとラフな格好をした梓は、ベッドへと座り首にはタオルをかけていて



いつもとは違い、濡れて迫力を無くした白銀の髪は…今度は色気へと変化しそしてポタリとベッドへと水滴を垂らした。




少しばかり引かれた手によって私は、ベッドへと座っている梓の足と足の間に閉じ込められる。




「髪、濡れてるよ」



「あぁ」



「ふかないの?」



「いい」



「でも、服濡れちゃう」