されるがまま歩き出した私の身体は、梓によってエレベーターの中へと吸い込まれていく。



次第に近づいてくる7階という場所へは思っていたよりもずっと早く着いて、だけれどエレベーターを降りた先に私を待っていたのはあの時の記憶。



梓をまっていたあの朱音という女の子の姿が脳裏に浮かぶ。




もしもまた…またあの子があそこにいたらどうしよう…またあの光景を見ないといけないのかもしれない…



そう思うと、自然と私の足は立ち止まり
そしてそれに気が付いた梓が私の方へと振り返った。



「あの…やっぱり私帰ろうかな…」



「は?何でだよ」



「だってほら…可笑しいじゃんこんなの。私達一応年頃の男女だしさ…」



いやいや、私一体何言ってるの。
というか言い訳にしてももっとマシなのあったでしょ……



「何だそれ、今さらだろ」



「今さらって…?」



「一度泊まってんのに今さらだろうが」



そういう問題なの…?
付き合ってもない男女がお泊りするのって普通なの…?一回目のあの日は不可抗力だったとしても…



つまりそれって、やっぱりあの女の子も梓の家に泊まってるってこと……?