「………へ?」
降りる…?
今降りるって言った?
私の隣に座っていたはずの梓は、それだけ言うとさっさとドアを開けて車外へと出て行ってしまう。
えっと……どう言う意味なんだろうか。
降りるぞって自分の行動をわざわざ私に報告してくれたとか…?それとも私に降りろって事…
いやいや、どっちもあり得ないよね……
じゃあ何?どういう意味なの…?
訳がわからず唖然と開いたドアを見つめていると、やけにこの車高の低い車を外から覗き込むようにして梓がこっちへと顔を出した。
「何してんだ、早くしろ」
「早くって何が…?」
「あ?」
「え…だから…どういう事…?」
「降りろ」
いや、うん、それは分かった
分かったんだけど…何故降りるの…
まるで訳の分からない私は、その場から動いて良いのかも分からずただ後部座席へと座ったままいると
何故だかこっちを覗き込みながらイラ付いたように眉を歪ませた梓は、上半身だけを車内へと入れると、そのまま私の腕を思い切り引っ張った。