そして、無言のまま歩く恭哉君の背中を追いかけ、やってきたのは保健室だった。





そっか!保健室か!


確かに保健室なら予備の制服もあるし、拭くためのタオルも置いてあるもんね!





「あれ、でも保健の先生って今日から出張じゃなかった?」


「俺、合鍵持ってるから平気」





と言うと、ポケットから鍵を取り出し、保健室のドアを開けた。





合鍵って…


どうしてそんなものを、生徒である恭哉君が持っているのかは、あえて聞かないでおこう。


…ちなみに言うと、保健の先生は女の人だけどね。





少し悪いような気もしたが、他に行く場所もないため、私たちは保健室の中へと足を踏み入れる。





「とりあえず風邪ひく前に制服着替えろ」


「う、うん。あっ、ブレザーありがとう」


「ん」





そう言って恭哉君にブレザーを返し、代わりにタオルを身に纏う。





私が棚から制服を探している間、恭哉君はタオルで濡れた髪を少し乱暴に拭いていた。





「ね、ねえ恭哉君…」


「話しは後だ。襲われたいなら、いいけど」


「え?」





そう言って恭哉君は、私の胸元へ指を差していた。