「そうだ。」


「……土方さん」



土方さんの姿を見るのは久しぶりだった。


なのにその立ち姿はいつもと変わらなくて、こんなときなのにほっとしてしまう自分がいる。


この人がなにを望んでいるのか、あたしは知っているのに。



「土方さん!」


「……お前、」


一瞬、土方さんの切れ長の目が大きく開かれた。


沖田さんの姿を確認して、あたしへと目を向ける。


お前が治したのか。そう言われているようだった。



「治ったんです。この通り、刀も握れます。だから僕も戦いに……」


なにも知らない沖田さんは、羽織を着て鉢金を巻こうとする。



「総司。もう準備はできてるのか?」


「はい。すぐにでも出陣できま――――」



「違う」




――――……大坂へ行く準備だよ。