「な、なんで?なんで治せてないの?」


手当たり次第に力を使っていく。


違う隊士の怪我でも、結果は同じだった。



あたしの全身には傷ができていて、そのどれもが移したもの。



「紅、やめろ!」


沖田さんの声が聞こえたけど、あたしはかまわなかった。


あたしの手を止めたのは、沖田さんでも永倉さんでもない。




「――――やめてください。紅さん」



片目を押さえる隊士だった。




「それ以上は紅さんの身が持ちませんよ。

俺たち散々あなたに治してもらって、愚痴とか、どうでもいい話とか色々聞いてもらって……こんなこと言う資格ないと思うんすけど、嬉しかったんです。

俺たちのこともちゃんと見てくれていた紅さんのことがみんな好きでした。


変わっていくあなたを見るのが楽しみだったのは沖田組長たちだけじゃない。
俺たちもあなたの笑顔が増えるたび、嬉しかった」



押さえていた手を外せば、痛々しい目が露わになる。


両手で、しっかりとあたしの手を押さえ込んで――――




「もう十分っすよ。十分、俺たちは助けてもらいましたから……


ありがとうございます。紅さん」