部屋から出たあたしたちは廊下を駆け抜けていた。


いつもなら土方さんの怒号が飛んでくるけど、今日は静まりかえるばかりであたしたちを咎める者はいない。



まるで二人だけが世界に取り残されちゃったんじゃないかって錯覚してしまうほどだった。



向かう先はおそらく人が集まっているであろう正門。




――――あのとき、あたしは力を使おうとした。


もし沖田さんの結核をあたしが“治せた”のだとしたら。


移すんじゃなくて、治す力に変わっているんだとしたら。



これでみんなの役に立てる。


誰も苦しまなくて済む……!