だから、宝珠の存在は秘められている。


四獣珠は別々の場所に隠されて、預かり手は交流を許されない。


互いを知らないまま、ひっそりと世代を重ねて、次代の預かり手に宝珠を託す。



ところがどっこい、異常事態が起こっちまってるのが現状で。



集まらない本能を持ってるはずの四獣珠が、互いに呼び合ってる。


一つのフレーズを合言葉にして。



――因果の天秤に、均衡を。



何度聞かされたかわからない。


子どものころから聞かされてた気がする。


それが朱獣珠の声だって気付いたのは、一年くらい前のことだけど。