「おはよー紗季!」
「おはよーもか、さと!」

私が教室に入ると必ず挨拶をしてくれる。
それが嬉しくて、いつも笑顔になる。

「今泉さんおはよう。」
「お、おはようございます…」

最近は隣の席の河野くんが挨拶をしてくれる。
さとともかにするときみたいに、挨拶を自然に返せたらいいんだけど、緊張してうまくできない。

だって河野くんかっこいいんだもん。

女の子に人気があるし、友達思いの優しい人だし、普段から放課後は図書室で勉強してて努力家だし…

私とは正反対の人だよ…

「ねー、紗季!私今日古典当たるんだけどー!!」

考え事をしていると里が涙目で私のところに来た。

「あー今日、15日だね…」
「それでね教えてほしいんだー!だめ?」
「私で良ければ全然いいよー」

普通だったら、答え移させてとか言うんだろうけど、そうやってきちんとするところは里のいいところだよね!



そして昼休み
私達三人ははお弁当だから教室で食べる。

「そういえばもうすぐ夏休みだねー」
「だねー、夏休みといえばスイカにかき氷に、アイスに流しそうめん!はぁー、どれも幸せ」
「それは夏休みじゃなくてもできるんじゃないかな…もか」

「夏かー、三人でたくさん遊びたいね!」
「あぁー!うちらの癒やしが可愛いこと言うてるー!!」

そう言って俯く里。

「え?!なんか変なこと言った?」

可愛いことって…思ったこと言っただけなんだけど…

「そうと決まれば予定を決めよう?」

ともかが元気たっぷりの声で言った。

「私は、何にもないから二人に合わせるよー」
「ありがとう!」

二人はそれぞれ部活に入っているから、休みが決まっている。

「楽しみだねー、早く夏休みにならないかなー…」

そうつぶやいたときだった。


……?

誰か私を見てる??

あたりを見回したけれどそんな感じはなかった。

キョロキョロしていると話しかけられた。

「どうかした?今泉さん…」
「あ、なんか、視線感じちゃって…」

気のせいか…な

「誰も見ている人はいないよ?」

「気のせいだね………って!河野くん!?」
「はーい何でしょう?」
「い、いつからそこに??」
「いつって言われてもずっと話していたよ?」

気づかなかった…
私、変なこと言ってなかったよね?
どうしよう!言葉が出てこないよー!!

「ハハハ、今泉さん可愛い」
「はぇ?」

うわ!変な声出た!

恥ずかしい…

でも、河野くんが急に変なこと言うから…

「俺で良かったらいつでも相談乗るからね?」
「あ、…ありがとうございます…」

本当に優しい人だな…
お友達になれないかな?

だけど、さっきのは勘違いなのかな?
だといいんだけど……