「……はい。」

きっと、彼はあたしがこんな髪にしたことを知ったら怒るだろう。

……って、もうあたしのことは嫌いって言っていたよね。

あたし、どこまで琉のこと考えているんだろう。

「……似合ってるよ。前もキレイだったけど。」

今を褒めると同時に、昔のあたしも褒めてくれる優しい憂さん。

その目は嘘はついていない。ハッキリと、あたしを奥深くまで見つめる目だ。

「で、要件はなんですか?」

あたしが本題だろうことを出すと、彼の雰囲気がすこし変わった。

楽しいかんじ感じから、ピリリとした感じへと。

「麗薇ちゃん。キミは早くこの街から遠く離れたところに行った方がいいよ。」

「……え、」

予想もしなかったその言葉に、あたしは間抜けた声が出てしまう。

……この街から、遠く離れた場所に行った方がいい?

どういうこと、なんだろうか。

「どうして?」

あたしは憂いさんに敬語を使うこともわすれて、ただ目の前の疑問を口にしていた

「……琉が、麗薇ちゃんを探してる。」

その瞬間、あたしの心臓は苦しいくらい暴れ出す。

正気もわすれて、どんどん視界が暗くなっていく。

頭にタライを落とされたみたいに、ショックを受ける頭。

まるで金縛りにあったみたいに1つも動かない体。手先、足先が冷たくなる……。

……怖い

どうして、今あたしを?

どうして、あたしを探すの?あたしのこと、嫌いなんじゃないの?

それとも、再生したってきいて、あたしのことを潰しにきたの?

なんで、あたしかこの街にいるってわかったの?

……ねぇ、なんでよ、わかんない………教えてよ──────琉。

「残念だけど、探してる理由は分からないんだ。ツカサが言ってくれなくて。…」