ボロボロになってまで、愛しい人を愛したくない。

そんなになるのなら、この想いを捨ててしまったほうがましだと思うから。

悲劇の繰り返しなら、出会いたくもない。

「……麗薇?青ざめてるけど、どうしたの?」

俯いていたあたしの顔をみて、千鶴はあたしを心配してくれる。

「……大丈夫。」

なんとも言えなかった。

あたしにとって、”過去”は、”昔”はトラウマだ。

嫌なことの連続だった。でも、いいこともあったのかもしれない。

だけど、そんな想いをして、こんなにも苦しいのなら琉になんて、合わないければ

良かった。

どんなに、父親がいやでもあの日は反抗するんじゃなかった。

そして、家出なんてするんじゃなかった。

……そうすればあんなことになってあの女のせいで大切なものを失わずに済んだのに

って、今更後悔していても、おかしいけれど。

靴箱につくと、あたしは扉をあけ上靴をとりだす。

あたしの5個右隣は漣だから、必然に目が合ってしまう。

なんか、恋愛マンガみたいで恥ずかしいんだけど。

あたしはぷいと視線をはずすと、廊下に出た。

今日は教室へ行く気がしない。なぜなら、みんなに問い詰められると分かっている

からだ。