別に、麗薇を好きになったわけじゃない。

かといって、嫌いなわけでもないけど。

だれかの夢を見て苦しむなら、俺の夢をみて笑ってほしい。

俺は……麗薇の笑顔が大好きだから。

「……ぃ、や、」

まだ苦しんでいる様子の麗薇。一体、なんの夢を見ているのだろう。

葉瀬 琉の夢……?龍我の夢?それとも、ほかの誰か?

「……ぉいて、いかな、い、で、唯、莉……」

麗薇の口から、また知らないやつのなまえが出てくる。

いま出てきたのは、”唯莉”。

名前てきに、オンナだろう。女々しいなまえのなんていないだろう。

麗薇、おまえはいくつの過去をもってるんだよ、

俺は、麗薇の頬を両手で包み、寝顔をみる。

まだうなされていて、苦しそうだ。

「麗薇、俺だ。漣だ。大丈夫だよ。」

自分でも、なにが大丈夫なのか分からない。

なんでそんなことを言ったのかもわからない。

ただ、この目の前にいるオンナを1人にして置けないとおもったから。

目から流れた彼女の涙は暖かかった。

俺はその涙を拭うと、ベッドに入り横で眠る麗薇を抱きしめた。

……もう、悪夢はみらなくていいから。

……大丈夫、俺が傍にいるから。