「ら、麗薇、麗薇。」

肩にとんとんと響く振動。

この声は___誰?

あたしを救ってくれる声?

これとも、あたしをどん底に突き落とす声?

分からない。分からないの。ただ震えることしか出来ない。

怖くて、怖くて、ただ、思い出したくないあの記憶。

『見ろよ、あれ。龍我と薔薇姫じゃね?』

『うわっ!薔薇姫、噂以上に綺麗……』

誰もが憧れ、誰もが尊敬の視線を。

”薔薇姫”そう呼ばれた女はもういない、

”薔薇姫”そう呼ばれ愛された昔のあたしはもういない。