「…菜音、ここからできるだけ遠くに逃げて。」

「え?麗薇さんはどーするの?」

あたしは向かってくる不良たちに立ち向かいながら、いった。、

「あたしは大丈夫よ。スニーカー、ありがとう。」

そういって、笑った。

「ハッ…逃がさねぇよ」

菜音にも、魔の手が及ぶ。あたしはそれを、蹴りで払っていく。

「麗薇さん、強い……」

周りにいる不良を、一気に倒していく。

……本当は、戦いたくなかった。そうすれば、昔の自分に戻ってしまうから。

「へぇ……桜姫は喧嘩ができる、と。」

何かにメモにしているようだった。

「はやく連れいけ。」

……このままだと、このままだと……。

自分に降りかかった火の粉を払っていると、菜音のほうに悪魔が忍び寄った。

「……ちょーっとねむっててくれよ?」

そういって、あたしは菜音が奴らの手中に落ちてしまったと気づく。

……守れなかった。

そう、いつだって犠牲になるのはあたしのせいだ。

今だって、あたしが逃げ出したから、菜音まで被害が及ぶことになった。

せめて眠ったままでも取り返そうと、残りのやつを倒す。



「……れーちゃん!」

もうすぐてボスに近ずくという時、公園に吏人が入ってきた。

「麗薇!」

息を切らしながら、我龍の幹部の全員がそこにいた。

すると、後ろにいたボスが後ろからあたしの首に腕を巻いた。

「…おっ、とてぇだすなよ?」

それは、攻撃をしようとした咲夜に対してのことだった。

「おいおい、ちょっと待てよ」

お手上げとでも言いたそうなポーズで吏人の横に並んだのは、ツカサ。

「その女たち、どこに連れていく気だ?」

殺気と睨みを孕んだ、低い低い声。

「……俺らの作戦の被害者になるだけだ。俺らも頼まれてるからな」

口元に、ハンカチが迫ってくる。これを嗅いだら眠ってしまう。

あたしは息を止め、抵抗する。


「……麗薇────!」

遅れてきた陸が、瞳を揺らす。

「へぇ」

感嘆の声が聞こえると、さらに強く押されこまれる、

……息が…できない。