倉庫に着くと、あたしはあの日を思い出した。

あたしを追い出した、あの人たちは今、あたしの近くにいる。

もう二度と、戻らないと誓ったのに。

絶対に北には来ないと自分自身に言い聞かせたのに。

「麗薇、こい。」

幹部の1人があたしを車から出す。

あたしは怖い。1度は『お前はもういらない』と言われたのに。

琉はというと、先回りしていた雫雲と話している。

「……さ、麗薇っ!」

「……さ?」

雫雲はあたしに腕を広げて飛びかかってくるけど、あたしは辛うじてよける。

「気にすんな」

何を、言いたかったんだろう。

凛龍のみんなも来てるみたいで、それぞれが話をしている。

……いまなら、逃げれるかもしれない。

ここに入れば、思い出しては行けないことを思い出してしまう気がするから。

あたしはそろりと後ずさりすると、振り替えずに逃げた。


「……あ、おいっ、麗薇!」

咲夜が叫ぶ。

あたしは振り返らない。戻るんだ。みんなの所に。

「待てよ!」

雫雲の声も聞こえてくる。早いから追いつかれそうだけど、なんとか隠れる。

スマホもない。お財布もない。いまのあたしには、逃げる以外には出来ない。

ある路地に隠れていると、日が暮れていく。

そして、ぼちぼち見知りの道を歩く。

しばらくして、あたしと琉が初めてあった公園に着いた。

月と星を見ながら、ブランコに座った。



「…麗薇、さん」

バレてしまったとかと、振り向くとそこには菜音がいた。