「あの時、漣にお前にはもう価値はないみたいなこと言ってたのはどーゆう事?」

「……ああ、あれはただ単にあいつが俺らに反しただけ。」

ふいっと、視線をそらされた。

「……琉と、イマミヤは?」

「多分僕の仲間と遊んでる」

僕の仲間というのは、凛龍のことだろうか。

取り敢えず、この白くてバカでかい部屋から出たい。

カーテンも白レースで、この部屋にはあたしが寝ているこのベットしかない。

離れた先にはアンティーク調の扉がある。

起き上がって気づいたのは、あたしが着ているのは海で着てた服とは違う、白レースワンピ。

「ああ、それ着せたのはメイドだからね」

あたしの考えを読み取ったかのようにすんなりと答えた。

コンコン


「雫雲〜!また万友(まゆ)と菜音(なのん)が喧嘩したー」

アンティーク調ドアが出てきたのは、アッシュブラウンの髪の子。

くせ毛で目がくりくりしてる。それで、目をこすっている。

「椋(むく)、琉に止めてもらって」

椋と呼ばれた子が雫雲に近づいていって雫雲が椋の頭を撫でる。

「あの人怖いもん」

この人、可愛いんだけど。

…琉が怖いのはよーくわかるね。

あたしが勝手に同情してうなづいていると、

「…キミもこわいと思う?!」

そーいってからあたしの手を握って上下にふる。

「あ、僕は椋って言うんだ。よろしくね?」

「あたしは、麗薇です」

「れらちゃんかー ばらに名前似てるね。かわいい」

薔薇に名前が似てると言われるのは嬉しかった。

「可愛いのはあなただよ」

「”あなた”なんていわないで、椋っていって」

「椋……?」

「そーだよ。」

そして、椋は柔らかく笑ったのだった。