「麗薇ちゃん?なんか、調子わるいの?」

千鶴はあたしの変化に気づいたのか、あたしの顔をのぞき込んだ。

キラキラとした茶髪だなって、改めて思った。

「ううん。なんでもない。」

あたしは嘘をついた。

あたしを、愛して欲しかったから。

嫌われたくなかったから。

笑顔を貼り付けた。

…………うますぎる作り笑いを。

あたしを見ていない、なんて慣れていたはずなのに

あたし自身じゃない、なんて期待していなかったはずなのに。

どうして、こんなに苦しんだろう。

どうして、こんなに嫌だと思うんだろう。

わからない。わからない。

………あたしの気持ちがわかんない。

「フラバ、した理由はね、」

静まった屋上に、沈黙が続いたころ。

あたしの口は動いていた。

「………懐かしい人を、思い出したからだよ。」

あたしはできるだけ、柔らかく笑った。

その笑顔の中に、”もう、追及しないで。”

そんな意味を込めながら。

あたしは、教室に行ったんだ。