「……ねえ、漣。花火が終わって、寝る前あたしのところへ、来て。真実を教えて」

あたしはそれだけ言って掴んだ漣の服を離した。

イマミヤは、あたしが真実を知ったら絶望すると言っていた。

それは、あたしのお母さんをあたしが殺した、という話なのだろうか。

あたしたちみんな、幼なじみだった、ということなのだろうか。

きっと”真実”ていうのは話全体のことで。

移りゆく花火の色を眺めながらも、あたしの心はまるでそこになかった。

「麗薇?大丈夫ー?」

心ここにあらずだったあたしの顔を、千鶴がのぞき込む。

「わっ、千鶴!」

「ごめん、ごめん。驚かせちゃった」

この人は千紘と双子なのに、顔以外似ているところを見つけられない。

「麗薇、どーかした?漣とのこととか」

「千鶴には、お見通しだね」

あたしは苦笑した。

こんなことが、彼にバレるなんて。

「わかるよ、麗薇のことならね」

あたしのもつピンクの花火が、ハートを描く。

「これなんて書いているでしょーか」

千鶴が花火で絵を書いて、あたしがそれをあてるゲームの開始。

こんなに楽しいことをしていながらでも、浮かぶのは漣と琉のこと。

琉たちと過ごした、明るすぎるような日々に似ている。

亜衣梨がくるまでは。

幸せだったのに。ねえ、琉。

教えてよ。

苦しいよ。

胸が苦しくて、悲しい。







「─────麗薇」

花火で遊んだあと。あたしは寝室に戻っていた。

真実を知る覚悟と、ほんの少しの不安。

「れ、ん」

愛しいひと。

大好きで、大好きで………