『お前の母親を殺したのはお前のクセにな』

『前は血の繋がりがないってわかってた娘を愛していたのに』

『漣も琉も西の総長の雫雲もお前の幼なじみだよ』

頭から離れない。

イマミヤの言葉が直接心に刺さる。漣と琉はあたしの幼なじみなの?

今はへやに行きたくない。漣にたいして、変な行動を取ってしまうと思うから。

真実はどこにあるの?なんでイマミヤがここにいるの?

「……もう、わかんないよ」

あたしの言葉を闇夜に隠すように鳴り響くスマホ。それは大河からだった。

『もしもし、麗薇。今どこ?』

「ねえ、大河。もう、わかんない……」

『取り敢えず、場所を言え。漣と一緒に』

「漣は連れてこないで!」

大河の言葉を遮って、あたしは怒鳴るように声を発した。いまは、漣に会いたくない。

「ねぇ、大河だけできて……」

その後の沈黙になにかあったと悟ったのか、大河はOKしてくれた。

あたしは近くのイスに座った。まだ、心がバクバク言っている。

「麗薇!」

浴衣姿の大河が、ここにいた。

「た、いが」

怖い。消えたあたしの記憶も、これからどんどん知っていかなきゃならないあたしのホントの、過去も。

「いまからの話、あたしの同志として聞いてね」


「今宮 淳(しゅん)にあったの……」

案の定、目を見開く大河。それもそのはずで、蘭龍とは仲が悪いから。

「なあ、それってわざと、なのか?」

イマミヤがあたしに接触してきたのは、わざとなのか。

「わかんない……」

イマミヤがいったことは本当なのか。まるで頭の上にタライを落とされたみたいに苦しい。