「よっしゃ、俺海行ってくるわ」

麗薇を離して、千鶴たちをさがした。麗薇は返事をすると、スプレーの日焼け止めを塗った。

「お前さ、漣のこと好きなの?」

「へっ!?」

本当はこんなこと聞くつもりなかった。だけど、麗薇に話を聞いてもらうと素直に嬉しかった

「……好きだよ。きっと、この感情が好きなんだろうね」

もやっとして、黒い感情が渦巻く。麗薇の目線の先には、大河たちと遊ぶ漣の姿。

その顔は、優しくて、でも甘くて。もう、敵わないのかもと思ってしまった。

俺たちの目線に気づいた漣が、こっちに不機嫌オーラを出しながら来る。

お姫様を取られた総長様は不機嫌極まりない。

俺は漣に不機嫌オーラをぶつけられるのがいやなので、漣には悪いけど、逃げた。

麗薇の『遙真は悪くない』ということば。これは責任転換みたいな感じになってしまうのかもしれないけど、それだけが嬉しかった。

自分が悪くないとおもってホッとしているのは、俺が弱いから逃げているだけだ。

俺はTシャツを脱いで、彼らのもとへ向かった。