「俺が、女を嫌いになった理由、きいてくれる?」

「勿論だよ」

麗薇のその声をきくと、息を1度吐き出して、それから大きくて吸う。




____俺だって、はじめから女が嫌いだったわけじゃない。

普通に恋もするし、普通に彼女だっていた。

女友達もいて、そこそこ楽しかった日々。

だけど……いまは違う。

すきだという告白も、気持ちが悪い。

オンナ、といえばあいつと同じに思える。

麗薇の第一印象は、最悪だった。

超絶美少女だから、甘やかされてきたり、散々好き勝手やってきたんだろう。

金持ちなら、せいぜいワガママ言ってきたんだろう。

だけど、違って。

”愛して”

どうして、そう懇願するのか、俺は分からなかった。

”愛して”

そう懇願する様は”嫌いにならないで”と言ってるように思えた。

『俺を嫌いにならないで』

『俺を置いていきかないで』

あの女にしか、頼ることしかなかったのに……。


「俺、父親を元カノに殺されたんだよね」

案の定、目を見開く麗薇。

こんなことだと思ってなかったんだろうな。

「……ぇ、どういうこと、?」

混乱しているようだ。

どうして、と言われてもあいつのことはもうわからない。

「付き合ってた元カノが、どんどんと乱心になって……」

はじめは、ただ純粋に俺が好きだったんだとおもった。

どんどん増えていく束縛。世界を閉ざされるぐらいに、すべてのことを切られた。

”愛”なんて目には見えなくて、空虚な妄想。

『ただ、そう思う』感情に振り回されて、傷つく。

ひとは、どうもこんなに滑稽なんだろう。

目に見えないものに、どうして縋るのだろう。

「いつしか、なにも信じないようになった。」

俺がなにをいっても、俺は彼女を愛していないと返してくる。

確かに、俺は彼女を愛していた。

大好きだった。

それを否定されるのは、思うよりもきつくて……。