「泣けよ。苦しいなら。─────俺がずっと傍で抱きしめてやるから。あんまりためこむんじゃねぇ。」

…”泣けよ”乱暴で、ぶらっきぽうな言い方。

だけど、それは”泣いていい”っていう意味に聞こえた。泣いてもいいよ。そう言うってくれる人はいなかった。

あの日から、あたしはずっと1人で泣いていた。涙が枯れて欲しいと願うのに、全くもって止まらない。どんどん増す涙。

1人で抱え込むから、メガティブになってもっと悲しくなって苦しかった。

「……っ、ぅ……」

誰かの胸で泣いたのはいつぶりたろうか。


なんで、今更……。


「もう、抱え込むな。背負い込むな。お前で抱え込めるわけねーだろうが!」

千紘があたしの頭を小突く。それに千鶴ものって、半ば罵られるみたいになった。

「ずっと、ずっと苦しかった」

このイタミを、誰かが気づいてくれるのか。

誰も気づいてはくれない。あたしで何とかするしかない。

そう抱え込んだ過去におさらばしよう……。

だから───。

だからもう一度言う──。

「ねえ、皆。あたしを、愛して。」

狂い咲きの桜と、深紅の薔薇。あの日のあたしを塗らすのは、血塗られた薔薇。

すべてが嫌になっても、ただ琉だけをみていた。

「苦しいぐらいに……」

”あたしを愛してよ。”















「──麗薇。あんな髪色にして、許さないよ───」