「棄てたのか?葉瀬が?……信じられない」

「確かに。我龍が一体となって姫を守っているって感じだったから捨てるなんて」

普通に考えれば、あんなに寵愛していたのに………と考える。

だけど、違って。

「……あたしの義理の妹が、あたしの邪魔したの。」

妹なんて思いたくなかった。

あたしの姉妹はずっと、唯莉だけでよかったのに

「邪魔………?」

遙真が首を傾げた。

「あたしは……あたしは浮気なんてしてなかった!陸と身体の関係なんてなかったし他の族に情報を売ったりなんてしてなかったの!」

どうして、あの時陸も否定してくれなかったのだろう。

前にかかってきた電話には、きちんと陸もいた。

陸もいて、あたしに愛してると。『俺は変わらないから』そう言った。

「……なんで、あたしがそんなことしなくちゃいけないの?ずっと一緒にいるあたしよりもなんで亜衣梨を選ぶのよ!おかしいじゃない!」

感情が爆発して、止められない。まるで、噴火をしたマグマのように流れ出る。

「…あたしはずっとっ!」

「──────麗薇。」

この声は、あたしを救ってくれる。

この人はあたしを抱きしめておさめてくれる。優しいその声が、優しくあたしの名前を、よぶ。

「あたしが、悪いのかな。」

あたし、何か琉たちにしたのかな。なにか、愛想を尽かされることをしたのかな。

「俺はお前を離さない。たとえお前が離せともがいても、泣き喚いても俺はお前を離さない。………ずっと、待っていたんだから……」

彼はわざわざこっちまで歩いてきてくれたらしい。

彼の後ろにある窓からは、狂い咲きの桜が見えた──────。