「……会いたかった」

タオルケットを羽織ったままのあたしの腕を引っ張って、抱きしめてくる。

「い、いやっ、離して……っ」

怖くて、辛くて、涙がでる。自由を奪われたみたいに、体が重い。

頭だってガンガンするし、なによりあの日のあれがフラバする。

『は?俺はお前を愛してなんていなかったよ?』

優しい顔で、毒を吐かないで。

『俺がお前を愛してるなんて思ってたのか?ハハッ!お前なんて愛するわけないだろ』

渇いた笑(えみ)が、口に弧をつくる。

なんで今更会いたかったなんて……あたしがどれだけ傷ついたと思ってるの。

「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!」

『お前なんていらない。』

やめて……あたしを否定しないで。

あたしがここにいることを

あたしの存在を否定しないで。

『お前なんて嫌いだ』

あたしの過去を、知っているくせに。

どうしてそこまでしてあたしを傷つけたいの、

心にヒビが入っていたのが、一気にわれた、

「…っ、あたしを、……あいして、ないって……」

殴られ、傷つけられたところが疼いて気持ちが悪い。

心臓が狂ったみたいに早く動き出す。

あたしが必死に絞り出してなにか言うと、なにも言わせたくないのかあたしの顔を強く彼の胸板に押し付けた。

「……ごめん……だけど、俺はお前だけを、麗薇だけを心から愛してる。」

吐くほど甘いそのことば。

なんどだって、いつだってあたしにこぼしてくれていたことば。

それは1種のあたしの精神安定剤みたいなものに代わっていた

それから……

「……ん…ぁぁぅ」

あたしの唇をふさいだ。

混乱とフラバでパニックになるあたしを気にもしていないようだ。

角度を変えて、甘い啄むようなキスを落としてくる。、

……ねぇ、琉。

なにを、考えているの。

あなたが好きになのは、亜衣梨でしょう?

だったらあたしにキスなんてしないで……。