「そうだよ。俺らが傷つく理由なんてどこにも無い。だけど、俺たちは大人の勝手な理由につきあわせられてるんだよ。」

大河のそのことばに、何となく共感した。

溜め込みすぎたあたしは。

大河にすべてを話し始めていた。

「”北の我龍”。大河も知っているでしょ?」

我龍のことばが出てくると、彼の顔は曇り出す。

「あたしはそこの元姫であって、元薔薇姫なの。」

突如として現れた別れに、あたしの心は追いつかない。

「あたしには、唯一の姉であり、1番の親友だった唯莉って言う女の子がいたの。その子は百合さんの1番目の子どもで、お父さんからも1番愛されていた。その子には妹がいて、それが”亜衣梨”という子だった。彼女のせいで、何もかもが狂った…」

きっと亜衣梨がすべての元凶といっても過言でない。

どうしてあんなにも毛嫌いしていた亜衣梨を、急に愛しているといったのか。

「唯莉はね、事故で亡くなった。だけど、彼女を殺したのは……妹の亜衣梨なのよ」

亜衣梨はあんなに愛されて育ったせいなのか、自分が1番に思われていなければ気に食わなかった。

しかも1番疎ましく思っていたらしいあたしにはイケメンの愛し合う彼氏がいた。

それが、彼女の優越感に火をつけ、あんな事件がおこってしまった。

唯莉が死んだのは……全部あたしのせい。

「陸という人と浮気したとかいって……あたしをどん底へ突き落とした。」

我龍が、あたしのヒカリだった。

せかいのすべてだった。

だけど……





あたしは、自分であたしの首を絞めていたのだ。


大河は、なにも喋らなかった。ただ、あたしの話を静かに聞いている。