生きたくて、自分で歩きたくて、自分で地に足をつけたくて。

だから、愛されてたくて。

そうすれば、きっとなにかが掴めると思ったから。

「うん。そうだよ。生きたかったんだ。」

大河も、涙ぐんでいる。

「でも、愛ってなに?好きってなに?恋ってなに?この感情はなんなの?」

認められたい。自分で生きていきたい。

……なのに、こんな感情は必要なの?

「麗薇、落ち着け。」

「ねえ、わかんないの。こんなのあたしに必要じゃない!」

辛いだけ。悲しいだけ。

何も得られないのに、こんな張り裂けそうな思い、したくない。

「大切なんだよ。それを、漣斗が教えてくれた。」

「……なんで?」

「それを、自分で見つけるんだよ。……生きていくために。」

あたしが大河の過去をきいて、もうあたしには隠さなくていいと言うつもりだったのに、あたしが慰められる。

「麗薇が言わないなら、俺は聞かない。だけど、俺は麗薇のそばにいる。」

女嫌いの大河が……あたしに、奥から微笑んでくれた。

「一緒に、生きていこう、」

伸ばされた手をとって、生きていく。

あたしは嫌われたくないから、自分を偽っていた。

ホンネなんて言えなくて、なんとか自分の思ってないことで誤魔化した。

嫌われたくない、だから引いて。

きっと、唯莉の前でも隠していた。

きっと、彼女は受け入れてくれるのに。

「嫌われたくなかったっの!」

涙でぐちゃぐちゃの顔には、晴れたなにかがあって。

それでも、こんなあたしでも、琉は愛してくれていたのだろうか。

居場所が欲しかった。

あったかくて、やさしくて、すべてを包み込んでくれるような。


大河は、あたしを抱きしめてくれた。

あたしの過去は、大河にくらべるとやさしいものなのかもしれない。

肉親からの裏切りは答えるものだから。

「ここにいるやつは、みんな耐えてきたんだよ。」

ぽつり、彼が声をもらす。