「ふーん。………そういえば、みんなは?」

ここには大河しかいない。

「千紘と千鶴と遙真はゲーセン。漣はふらっとどっかいったよ」

あたしはさらに、質問を続けた。

「………なんで、大河は本音を隠すの?」

あたしが下を向きながら遠慮がちにいったそのことばに、空気が詰まるのがわかる

「……は?」

とぼけたように………でも、声はワントーン低かった。

「んなんもしらねぇーやつが土足で俺の中に来るなよ」

それは、今まで仲良くしていたのにいきなりの拒絶だった。

分かり合うためには、信じ合うためには、ぶつかるしかない。

あの頃だって、そうやって仲間になった。

……いや、そうやって自分を正当化したんだ。

「なんもしらないよ。だって、聞いたことないんだもん。」

あたしはにげない。

あたしは強くなりたい。

だから、めげないの。目を見て、ハッキリと問う。

「しかも、そんな辛そうな顔で言わないでよ。」

あなたの過去は、何も知らない。

予想はできても、それはホンモノでないから。

「……はぁ。簡単にいえば、俺は確かに偽っていた。」

大河のお母さんは、元々今の大河の家のグループを作った凄腕らしい。

だけど、その代わりに男癖がすごく悪かった。

たまたま、1夜を共にした男性と出来てしまったのが、長男とした大河だったらしい

しかし、1夜では収まらず、彼女はその人に恋をした。

だけど、その人に振られ、父親似の大河にあらゆることを求めたそうだった。

それは大河がちょうど思春期を迎えてきた当たりらしい。

しかし飽きると会社の女たちに金を出してもらってやらせていた。

「……怖いんだよ。嫌われるのが。」

「こうやって、偽っていくしか、自分が分からないから。」

「そういうこと、なんだ。」

あたしは泣いていた。

大河の話と、あたしが求めているものがなぜなのか、わかったから。

「あたしは、大河は生きたかったんだよね……?」