自分の存在を否定されてばかりだったあたしは自分を、あたしを肯定してくれることがなりより嬉しかった。

あたしの存在はあっても良いものだと教えてくれたから。

そんな人達からの存在否定は予想以上に堪えるものだった。

”昔に戻るだけ”そう思っても知ってしまったから。

………余計に辛かったのだ。

「ああ。もちろんだ。俺がお前を愛してやる。」

そういってあたしを固く抱きしめてくれた。

ほんとなのか、うそなのかはいまはどうでもいい。

ただ、目の前のこの人に縋りたくて。

手を離してくたくなかった。

今だけでも気持ちが和らぐのなら、あたしはこれでいいの。



「まだ、言えないの。ごめん……」

あたしの過去のことは、まだ言えないのだ。

頭に、心にこびりついたあの悪夢を忘れることなんて出来ない。

あたしの1番のトラウマは、あたしが1番慣れていることだ。

あたしだけ愛されないことも、あたしだけに強く当たられることも、いつもあたしのせいにされることも。

全部全部、慣れている。だけど、あたしのトラウマ。

どうやっても抜け出せない闇のトラウマ。

「いいよ。俺は待つから。」

その声はいつもよりも優しかった。




”薔薇姫”なんて名前はいらない。

”葉瀬の女”という地位もいらない。

”華王”という財産もいらない。

あたしがほしいのは________。















____________譲れない、唯一の愛だ。