_____麗薇side


苦しい。まるで、水の中でもがいているみたいだ。

違う。違う。あれは現実じゃない。あたしは夢を見ていたのだ。


あれは夢。電話からあの人たちの声が聞こえたきがしたのは気のせいだ。

精神がすこしだけ、乱れただけの話だ。それから、あたしが見せた夢だ。



ねえ、漣。隣にいるんでしょ?

今、気持ちが不安定で苦しいの。こんな苦しみを抑えるのは、愛してもらうしかないって思うの。

あたしは知らない。感情の抑え方も感情の起こりも、愛するということも。

愛情も、哀しみも苦しみも。……抑えることができないの。

あたしは夢の中の浅瀬で、隣にいるであろう漣を抱きしめ、胸に顔を付けた。

匂いは分からない。だけど、ぬくもりは漣だと知っている、

「愛して……」

言ったのは分からない。だけど、心の中で叫んだ。

もう、これしか言ってない気がするけど、あたしにはこれしかない。

1人の生き方を知らない。

母親の愛も父親の愛も受けなかったあたし。

愛して欲しかった。……どうして、みんなあたしを愛してくれないの……?