相良さんは黙って俺を立たせると仲間を2人呼んできて俺をどこかに連れていった。

気づけば車に乗り込んでいて、気づけば安心している自分がいた。

服は血まみれだし、手や顔からは血が溢れている。

こんな格好ではあそこには帰れない。

……いや、帰らないんだ。

自分の弱さに腹が立つ。こんなこと、兄貴はやってきたのに。兄貴にできて、俺には出来ないなんて。ずっともっていたプライドはいとも簡単に崩れ落ちた。

もう、落ちるところまで落ちてしまえ。

どんどんやけなっていく自分がいる。

だけど、相良さんに止められたことで、少しはハメを外さずにすんだと思う。

『なんで、俺を連れていくんだ?』

勝手に自分のシマで暴れるやつを、どこに連れていくというのだろうか。

相良さんや他の2人からも殺気はでていない。

『俺はなぁ、お前みたいな未来があって暴れているやつをみるとワクワクして、ゾクゾクするんだよ。』

助手席に座っていた相良さんがこちらを向いた。

空気の流れが変わったかのように思えた。……フクロウのように完全に瞳孔の開いた眼。すこしだけ、殺気を感じたのだ。

おかしいのではないのかと、思った。、

いつか自分に手を出すのでは、と考えないのだろうか。

だけど、今考えてみればそんなのくだなかった。

相良さんには、”恐怖”という感情などないのだから。