「麗薇、俺だよ。漣斗だよ。」

いつになく、優しい声。

でも、良く考えれば琉はいつだってあたしに優しかったよね。

彼氏としては完璧で、まわりからは羨望の的。

女の子の視線をいつも釘つけにして、心を奪う。

だけど、琉が”愛してる”というのはいつだってあたしだけだった。

そんなあたしが女子に逆恨みされないように、幹部はあたしをいつも守ってくれる

悲しい時は一緒に泣いてくれて、嬉しいときは跳ね上がって喜んでくれた。

あたしに向けるのは、優しい笑顔。

総長である琉と、姫であるあたしを守る完璧なナイト。

「ごめんね。あなたがあたしを嫌いでも、あたしはまだあなたがすきなの__琉。」

あたしは琉の頬に手を添えていた。

それから、深く目を閉じたのだ。

こんな世界は見たくない。

時間が解決してくれる、なんて嘘だ。

それはただ、他人に任せているだけで自分は動いてもない。

なにもせずに解決するなんて、なんとも贅沢だろう。

だけどあたしはいつも贅沢だった。

ほしいものはなんでも琉が与えてくれるし、傍にいてくれる。

困ったことはなんでも琉に言えば解決だった。

キスという単語は知ってるけど、仕方の分からなかったあたしに、琉ほ優しく教えてくれた。

そして、出来たら褒めてくれる。ご褒美と一緒に。

愛を教えて貰って、愛に触れて、愛して、愛されて。

心、身体と追いついてく。

「……麗薇。」

優しい声で、そう呼ぶのだ。