お祭りの会場にいくと、屋台と鮮やかな笛。

「……わぁー!」

こんなお祭りに来たのは、去年ぶりだ。

「あたし、あれ食べたい!」

あたしは真っ先に玉せんの屋台へ行った。

彼らも仕方なく着いてきてくれている。

その顔は笑っているのか、面倒くさがっているのか分からないけど来てくれているのがとても嬉しい。

1つ頼むと、頭の上からもう1つと言う千紘の声が聞こえた。

お金をだそうとすると、千紘があたしのお財布をおさえた。

「俺も食べるから奢るよ。」

いつになく優しい千紘。……どうしたの、なんて言わない。

「……で、も」

「いいよ。」

そういって、あたしの頭を撫でてくれた。その笑顔はとても優しい。

前は見つめてくれなかった目の奥も、今は真っ直ぐにあたしを見ている。

その奥で、遙真が挙動不審になっているのを見つけた。

あたしは千紘にお礼をいって玉せんを貰うと、遙真に駆け寄った。

大河と千鶴はたこ焼きと焼きそばを買いに行ったみたいだ。

「……はーるーまー!大丈夫?」

すこし青白いその顔を、あたしはのぞき込んだ。

目には少しの恐怖と憎悪。、

「大丈夫だ。気にするな。」

そういって、顔を逸らした遙真。きっと、これは大丈夫じゃない。

遙真は、女の子が怖いんだよね。

「遙真。遙真は遙真だから大丈夫だよ。」

そういって、微笑んだ。

きっと、なにも知らないやつがわかった気になってんじゃねぇ、って思うだろうね

遙真は一瞬、えって顔をしたけど、そのあとに笑ったんだ。

向日葵みたいな笑顔で。