先輩は立ち去って、次の仕事をしていた。


他の学年はみんな仲がいいのにこの学年は何でこんなに冷たいんだろう。


久しぶりに誰かと話したことで私の喉は生き返った。


嬉しさで勢いづいたのか、苦戦している絵奈ちゃんに話しかけた。


「大丈夫?」


「やばいかも、手伝って。」


「いいよ。」


私はとても単純だ。


調子に乗って喜んでいた。


「絵奈ちゃん、あのさ」


ちょっと持っててほしいんだけど、と言おうとしたら誰もいなかった。


……あれ。


グラウンドを見渡すと、絵奈ちゃんは伊織ちゃんと文香ちゃんと一緒にいた。


と言うよりは、二人に連れられている絵奈ちゃんという感じだった。


仕事がないならあたし達と一緒に居ようっていう魂胆なんて見え透いている。


……悔しい。


「富木島さん、測ってよ。」


尖った罵倒が飛んできた。


「ごめん、保坂さん。」


そうやって呼ぶことだけが私にとってのささやかな仕返しだった。