「おはよ、どうしたの?」


「ああ、雅。おはよう。」


どうしたもこうしたもない。


私はあんたに怒ってるってんのに。


「華夏、疲れてる?」


「まあ、テスト近いから。」


「あー、さすが。

華夏、部活もめっちゃ頑張ってるし、勉強も頑張ってるんだもん。

そりゃあそうだよね!」


曖昧に笑って席を立って廊下に出ると、疲れがどっと噴き出した。


最近、雅と一緒にいると、疲れる。


だけど、もうグループの仕上がっている秋に、今さら私は他のグループに入る勇気なんてない。


ため息をついて数学の教科書をロッカーから取り出して教室に戻ると、雅が私の筆箱の中をいじっていた。


「何やってんの?」


なるべく明るく声をかける。


疲れる。


「筆箱の中身見てたんだー。」


「そんなに毎日見ても中身なんて変わらないよ。」


遠まわしに揶揄して言ってみたけれど、通じていない。


それでも中身を見続ける。