六日間は思っていたよりも、順調に進んだ。
問題が起きたのは、初日だけで、それ以外は内輪で少し揉めただけだった。
もしかしたら、問題が起きすぎて感覚がおかしくなっていたのかもしれない。
もう一つだけ、あった。
四日目の午後、コートにブラシをかけていると、香織ちゃんが崩れ落ちた。
最初は笑いすぎて転んだだけかと思っていた。
よくある事だからあまり気にしていなかったけれど、様子がおかしかった。
いつまでも崩れて腕を押さえている。
そのうち泣き出した。
離れていた私にも聞こえてきた。
それで顧問の先生がやって来て、腕を見た。
「痛い?」
「……痛い、です。」
「曲げられる?」
「無理です!」
「あー、折れてるかも。」
それを聞いた瞬間に、香織ちゃんは青ざめた。
「……いっ……!」
「病院行こうか。」
先生が素早く肩の下に手を差し出して香織ちゃんを連れていった。