涙声に埋め尽くされた部屋で、私はいつか感じた孤独を覚えていた。
……また、一人だ。
私だけ、部外者のようだ。
「……漫画、もう読まないね?
練習、集中するんだよ。
テニスのことだけを考えていていいんだからね。
こんな贅沢なこと、無いよ?」
先生が言う。
「……はい」
ぐずぐずになった声で全員返事する。
贅沢って、なんだろう。
「……雨、止まなさそうだから、今日の練習はなし。」
時計を見ると、もう昼になろうとしていた。
「……さ、ごはんの当番は準備するよ!」
先輩が元気よく言う。
当番でない人は部屋に戻った。
シオのグループと葵ちゃんのグループに二分されていた。
私は、どちらにも付けなかった。
いや、付きたくなかったのかもしれない。
そんなことをしたら、私は自分を嫌いになりそうだった。
まだ二日目だ。
これからどれほどの問題が起こるのか。
先のことを思うと憂鬱になる。