「ごめん、ちょっと静かにしてた方がいいから。」
「ぷはっ……うん、分かった。」
まだ二人は言い争っている。
せっかく楽しくやっていたのに、やめて欲しい。
「みんな、起きてる?」
その時、騒ぎを聞きつけたのか、高二の先輩が来た。
「……何かあった?」
ええあります、と答えたかった。
「……いえ、大丈夫です。」
「あのさ、中二の声、下までしっかり響いているからね?
何が起きたのかも、何となく分かるから。
……今日は雨だから、朝ごはんを食べたら食堂で話すことがあるから。」
「……はい、失礼します。」
面倒なことになった。
それに、昨日の夜、私は寝てしまったから気付かなかったが、さっき聞いた話だと、絵奈ちゃんが携帯をいじっていたかもしれないことも問題になっているらしい。
「……とりあえずごはん、行こう。」
仕切り直すように凛ちゃんが言った。
だけど、ご飯を食べている間も空気は気まずく、何も知らない先輩に「昨日の練習きつかったよね」なんて言われる始末だった。