これは嘘ではない。


人間関係だけが苦しいのであって、練習メニューは楽しかった。


百本サービスという百本入るまで抜けられない練習も、やってみると意外に熱が入った。


「花火もあるし、最後は楽しいと思うよ。」


「そうなんだ!

頑張れそう!」


バスが出発してからも、話題は尽きることがなく、部活でこんなに話したのは初めてのことだった。


そしていつの間にか、笑っていた。


到着する頃には、私もテニス部の中学二年生として、の話題に参加できるようになっていた。


それなりに話もできるようになり、嬉しかった。


練習も苦しかったけれど心地よい疲れが全身に渡っていた。


初めてテニス部にいてよかったと思えた。


だけど、次の日に問題が起きた。


中学二年生は二つの部屋をふすまで仕切っている部屋を使うことになっているけれど、開け放して一つの部屋として使っていた。


夜になって寝る時、私達の部屋は電気を消して寝ていたが、隣の部屋は薄暗い豆電球を灯して寝ていた。


それが、朝起きたら一番に揉め事として起こっていた。