……ああまた来た。
「……いいよ」
名前まで呼ばれてまさか無視するわけにもいかず、いやいやながら一緒に歩く。
絵奈ちゃんはいつの間にか行ってしまった。
最悪。
「部活、始まっちゃうよ。
早く行こう!」
なんて身勝手な。
私も、ユキも。
……だけど、仲良くなれるなら、なりたい。
初めてだった。
部活で、心の底から仲良くしたいと思う人ができたのは。
私は拒絶してばかりだから駄目なんだ。
せっかく仲良くなろうとしてくれているのなら、私も返したい。
「そうだよね、行こう。」
中学二年生の春。
初めて友達と部活に行った。
普通の人ならとっくにそんなことは出来ていると思うけれど、私にとってはとてつもなく遠い事だった。
そんな日は来ないと思っていた。
ここまでくるのに一年もかかってしまった。
長かった。
分からなかった問題が解けた時の恍惚感に似た感覚。