「富木島さん、これあたしやっておくから他のやつやってよ。」
休日練習がきつい。
練習内容はきつくない。
精神的に削られる。
それでも、私は毎日部活に行き続けた。
いじめなんてみっともないことを中学生にもなって受けているなんて誰にも言えなかった。
周りの人は憐れむか、楽しんでいるかのどちらかだった。
一学期までは、華夏ちゃんとか、華夏って呼んでくれていた子もみんな富木島さんと呼ぶようになった。
たまに思い出したように華夏ちゃんと呼ぶ。
それは私には『とりあえず』としか思えなかった。
とりあえず、顧問の先生に何か言われたら面倒くさいから華夏ちゃんと呼んでおこう。
私はいつの間にか『その程度』、『とりあえず』に成り下がっていたのだった。
本当なら学校行事でいちばん楽しいはずの今日の文化祭も、部活があるから全然気分が上がらない。
結子達にも会えない。
暗い気分のまま、他の仕事を探しているとボールを見つけた。
あまりに汚れていて、水道水で洗い流すと徐々に綺麗になっていく。